人生会議ってご存じですか?なんだか大げさな、難しいはなしのようですが、とても簡単で、でも大切なこと。そう、あなた自身が自分の幸せと健康のために、どうしたいのか、どう過ごしたいのかをインタビューし、それに寄り添った健康プランを考える、そのための話し合いを「人生会議」といいます。私たち医療者は少しカッコつけて「アドバンスド・ケア・プランニング」と呼びます。
あかしなクリニックでは、私たちを「かかりつけ医」として選んでくださった時から、患者さんと人生会議をさせていただきたいと思います。そのために、問診では人生会議のご希望をうかがいます。ご希望される方から少しお時間をいただいて、ご希望に沿った最適なプランをご提案します。
例えば…
78歳、一人暮らしの明子さん。毎日朝5時半に起きて、畑や田んぼの世話をして、取れた野菜を美味しく調理して召し上がり、最近ややおっくうになってきたものの、きれいに暮らしたいから頑張ってお掃除とお洗濯をして、さっぱりした生活を心がけています。ご主人は数年前に旅立ち、今は淋しさと悲しみから少し立ち直って、たまにお友達と会ってお食事や旅行をしたり、散歩会など地区の集まりに行ったり、のんびり暮らしています。お子さんは二人、52歳の長男は会社員、埼玉にマンションを買って、奥さんとお子さん二人で暮らし、49歳の長女は車で15分くらいの隣町に嫁ぎ自営業のご主人を手伝って、娘さん二人を育て、ご主人のご両親の介護をしています。年金はご主人の遺族年金とわずかな貯えで、すごくリッチじゃないけど、一人暮らしなら何とかなっています。最近気になるのは、体のこと、特に長年患ってる膝と、疲れやすくなっていること、息切れするようになってきたこと。あと忘れっぽさもこのところひどくなってきています。あんまり医者が好きじゃないし、これまで健康だけには自信がありました。整形外科の先生に湿布をもらえば、膝の痛みは何とかなって、疲れには通販で買ったにんにくと漢方のカプセルが効いてる気がします。あぁ、あと物置の整理も!重くて持てない農機具や古い箪笥や段ボール。あれ、どうしよう。納戸も色々つっこんだまま。そういえば、お父さんに任せてた土地や山は?娘のお姑さんの介護は大丈夫かしら。孫の受験は両親がついているから大丈夫でしょ? 息子はしばらく会ってなくて体はどうかしら?色々考えると眠れなくなるから考えないようにしています。
で、私はどうしたいのか、病気になったら?暮らせなくなる時がくるのかしら?一つ分かっていることは、できればこの住み慣れた家に最後までいたい。このお家で家族に見守られながら最後を迎えたい。一人だし、でもそんなの無理よね……
どうでしょう、5分もかからずに読めましたよね。でもこの方の日常が見えてくるようです。
私たちはまず患者さんの生活や健康の不安、そして希望にとにかく耳をかたむけ、その人が望む、その人らしい人生に寄り添える最適な健康プランをご提案します。そして、地域の連携医療機関、ケアマネージャーなど様々な医療関係者と連携し、そのプランが尊重されるようサポートします。からだの様子や暮らしの事情によって、プランをいつも変化します。それはかかりつけ医としていつもあなたの話を聞きながら、いつも一番いい形に変えていきます。
明子さんの場合。とても理想的な暮らしをしていらっしゃいます。ご主人の介護を長々するわけでもなく、一人暮らしを謳歌しておられます。まず、健康状態は疲れやすさと息切れが気になりますね。その原因をしっかり探り、適切な治療をしましょう。場合によっては少し大きい病院で検査や治療が必要になるかもしれませんが、こちらの情報をしっかり提供し、信頼できる医師を紹介します。そうそう、膝についてもかかりつけの先生から情報をいただいて、私たちも気を付けていきます。忘れっぽさはサポートが必要なのか、治療が必要なのか、一度簡単なテストをしてみましょうか。脳の健康とケアは元気にお家でくらすためにはとても大事なことですよ。生活のお困りごとは、どうでしょう、一度地域包括センターという、生活や福祉のお困りごとの相談に乗っていいただける行政の部署に行かれてみては?場所や連絡先は勿論、どんな相談に乗ってもらえるかもお話できますよ。今は元気だから、定期的にクリニックに通ってもらって健康チェックをして、運動やお食事などで予防できるものは予防しましょう。例えばこれから体が動かなくなってきても、私たちがいつもそばで状態を把握し、ケアマネさんとケアプランを立てて、できるだけお家で暮らせるよう訪問介護や訪問診療も取り入れましょう。
どうでしょう。明子さんの人生、明るく楽しくなりますね。それが人生会議です。是非、一度相談してみてください!


